四国88 カ寺巡拝の旅(「発心の道場」の巻[後半])では、発心の道場として阿波(徳島)23 カ寺のうち、後半として第12 番札所から見てまわります。 第12番札所摩盧山(まろさん)焼山寺(しょうさんじ)本尊 虚空蔵菩薩 ご詠歌 後の世を思えばくぎょう焼(しょう)山寺(さんじ) 死出(しで)や三(さん)途(ず)の難所ありとも
焼山寺は四国遍路阿波の道中で、最も厳しい難所と言われ、標高800㍍の地点にある。徒歩参拝の場合、すなわちお遍路さんは山道を13㌔も歩かねばならない。我々は里にある「おへんろ駅」でマイクロバスに乗り換え、山上の駐車場へ向う。楽チンだが、これでご利益があるのか疑問を感じる。でも参道からの眺めは絶景である。 第13番札所大栗山(おおくりやま)大日寺(だいにちじ)本尊 十一面観世音菩薩 ご詠歌 阿波の国一の宮とはゆふだすき かけてたのめや此の世後の世
第4番札と同じ名の大日寺。この寺の向えに阿波の国一の宮神社がある。本来はこの神社が霊場で大日寺が別当寺だったが、歴史の流れで今は大日寺が霊場となったそうである。 第14番札所盛寿山(せいじゅざん)常楽寺(じょうらくじ)本尊 弥勒菩薩 ご詠歌 常楽の岸にはいつかいたらまし 弘(ぐ)誓(ぜい)の船に乗り遅れずば
本尊は弥勒菩薩で、四国88 カ寺霊場では唯一、「未来仏」とか。この菩薩は弘法大師の御本地とされる。納経帳に書かれる弥勒菩薩の種字(梵字)とお遍路さんの書かれる笈摺の背中に書かれた弘法大師の種字は同じになっている。 第15番札所薬王山(やくおうざん)国分寺(こくぶんじ)本尊 薬師如来 ご詠歌 薄く濃くわけわけ色を染めぬれば 流転(るてん)生死(しょうじ)の秋のもみじ葉
天平13年、聖武天皇が国家太平、万民農楽を祈願して全国に国分寺66 カ寺を建立した。四国には4 カ寺ある。 第16番札所光耀山(こうようざん)観音寺(かんおんじ)本尊 先手観世音菩薩 ご詠歌 忘れずも導きたまえ観音寺 西方(さいほう)世界(せかい)弥陀(みだ)の浄土(じょうど)へ
ここの観音寺、呼び名は「かんのんじ」でなく、「かんおんじ」である。 第17番札所瑠璃山(るりさん)井戸寺(いどじ)本尊 七仏薬師如来 ご詠歌 おもかげをうつして見れば井戸の水 むすべば胸のあかや落ちなむ
井戸寺は吉野川と鮎喰川に挟まれた平野の真ん中にある。 第18番札所母養山(ぼようざん)恩山寺(おんざんじ)本尊 薬師如来 ご詠歌 子を産めるその父母の恩山寺 訪(とぶら)ひがたきことはあらじな
この寺は本来、「大日山蜜巌寺」といったが、弘法大師がその母である玉依御前に孝養を尽くされた寺であることから、恩山寺と呼ばれるようになったと伝えられる。 第19番札所橋池山(きょうちざん)立江寺(たつえじ)本尊 延命地蔵菩薩 ご詠歌 いつかさて西のすまいのわが立江 弘(ぐ)誓(ぜい)の舟に乗りていたらむ
立江寺の仁王門をくぐって左手に本堂がある。中庭を挟んで向いに大師堂がある。 第20番札所霊鷲山(りょうじゅざん)鶴林寺(かくりんじ)本尊 地蔵菩薩 ご詠歌 しげりつる鶴の林をしるべにて 大師ぞいます地蔵(じぞう)帝釈(たいしゃく)
弘法大師が修行中、この山を訪れると黄金を放つ地蔵菩薩像を二羽の鶴が守護していたそうな。大師は、霊木に地蔵菩薩を刻み、その体内に黄金像を納め祀りこの地を霊場とされたと伝えられる。 第21番札所舎心山(しゃしんざん)太龍寺(たいりゅうじ)本尊 虚空蔵菩薩 ご詠歌 太龍の常にすむぞやげに岩屋 舎心門持(しゃしんもんじ)は守護の為なり
阿波の難所の一つ、太龍寺も平成4年にロープウェイが開通して楽になった。 第22番札所白水山(はくすいさん)平等寺(びょうどうじ)本尊 薬師如来 ご詠歌 平等に隔てのなきと聞く時は あら頼(たの)もしき仏(ほとけ)とぞみる
弘法大師は、薬師如来と井戸水の霊験が平等に行き渡り、万人が救われるようにと寺の名を定めたと伝えられる。 第23番札所医王山(いおうさん)薬王寺(やくおうじ)本尊 厄除薬師如来 ご詠歌 皆人(みなひと)の病みぬる年の薬王寺 瑠璃(るり)の薬を与えまします
薬王寺は厄除けの霊場として名高い。 |