四国88カ寺巡拝の旅
「発心の道場」の巻き(前半)

では、発心の道場として阿波(徳島)23カ寺のうち、前半として第1番札所から第11番札所までを見てまわります。


第1番札所竺和山(じくわさん)霊)山寺(りょうぜんじ)

本尊 釈迦如来

ご詠歌 霊山の釈迦(しゃか)の御前(みまえ)に巡(めぐ)リ来て よろずの罪も消え失せにけり

 

四国88 カ寺の一番札所、霊山寺は、聖武天皇の祈願所として天平時代に行基により開創されたそうである。
山号の竺和山は、大師がこの寺で釈迦如来が天竺の鷲峰山で説法をする姿を見られたことから、天竺の「竺」と和国の「和」とで定めたと伝えられる。山号や寺号の名前の由来を探ると興味が増える。なお、四国88カ所関連するホームページをみると、竺和山霊山寺は印度(天竺)の霊山を日本(和国)にうつされる意味から竺和山霊山寺と号したとされる。
バスツアーで行くとこの霊山寺境内で参拝者一同の記念写真を撮る。
なんら観光客と変わらない。事実お遍路さんスタイルの人は極少なく、われわれを含めてほとんどの参拝者は半分観光気分だ。参拝も数えるとお遍路さんスタイルの人は増えてきているが・・・。バスツアーに同行された先達者によると、第88番札所でも記念写真を撮るそうで二つの写真を比べてみれば悟りの変貌があらわれるかも・・・との弁。一年後が楽しみである。


第2番札所日照山(にっしょうざん)極楽寺(ごくらくじ)

本尊 阿弥陀如来

ご詠歌 極楽の弥陀(みだ)の浄土に行きたくば 南無阿弥陀仏(なみあみだぶつ)口ぐせにせよ

  長命杉

極楽寺とはまことに有り難い。何故ってこの世に極楽へ行ける寺があるんだから・・・。
「極楽の弥陀の浄土に」行こうとご詠歌を口すさむわれわほれ五人組は仁王門へ向かう。仁王門をみると極楽へ行ける気分になる。
弘法大師が刻まれた阿弥陀如来像は、鳴門の沖まで達する光明を放ったことで、山号を日照山とされる。なお現在の阿弥陀如来像は鎌倉時代の作だそうだ。
極楽寺には弘法大師お手植えとされる長命杉がある。


第3番札所亀光山(きこうざん)金泉寺(こんせんじ)

本尊 釈迦如来

ご詠歌 極楽のたからの池を思えただ 黄金(こがね)の泉 澄(す)みたたえたる

  弁慶の石

この寺はもと金光明寺と称したが、その後弘法大師が寺の境内で黄金の霊水を発見されてより、金泉寺と呼ばれるようになったそうである。山号の亀光山は亀山天皇がこの寺に三十三間の堂を建て、先手観音を祀った縁起によると伝えられる。
源平盛衰記によると、屋島攻めに向かう源義経軍が戦勝祈願のため金泉寺に立寄ったとされ、庭に武蔵坊弁慶が持ち上げた「弁慶の力石」がある。


第4番札所黒巌山(こくがんさん)大日寺(だいにちじ)

本尊 大日如来

ご詠歌 眺むれば月白妙(しろたえ)の夜半(よわ)なれや ただ黒谷(くろたに)に墨染(すみぞめ)の袖

鐘楼門へ向かう参道の両脇には、季節の草花が植えられ、心が和みます。
本堂から本堂右側に位置する大師堂への長い回廊には、西国33 カ寺観音霊場の本尊を刻んだ仏像が並んでいるのは興味深い。これは観音経というお経の中に、観音様は33身に姿 を変え、いつでもどこでも私達 を救って下さると説かれているこ とによるのだそうです。


第5番札所無尽山(むじんざん)地蔵寺(じぞうじ)

本尊 勝軍地蔵菩薩

ご詠歌 六道(ろくどう)の能化(のうげ)の地蔵大菩薩 導き給えこの世 後の世

ご本尊は勝軍地蔵菩薩で、大きさは1寸8分と小像ですが、甲冑を身に付け、右手に錫杖、左手に如意宝珠を持ち、背に後光を負って馬にまたがる珍しいお姿です。
仁王門の奥に見える境内中央のイチョウの木は樹齢800年と言われる。
地蔵寺には女性の病を癒してくれる女神を祭る淡島社があり、女性参拝者はこれに向かう。


第6番札所温泉山(おんせんざん)安楽寺(あんらくじ)

本尊 薬師如来

ご詠歌 かりの世に知行(ちぎょう)争ふ むやくなり 安楽国(あんらくこく)の守護(しゅご)をのぞめよ

 

今は涸れてしまったが、ここは昔温泉が湧いていたそうで、山号はその名残りと伝えられる。
山門は竜宮城を思わせる鐘楼門で、左右に仁王像を安置している。
平成20年3月27日時点では本堂は修理中でした。


第7番札所光明山(こうみょうさん)十楽寺(じゅうらくじ)

本尊 阿弥陀如来

ご詠歌 人間の八苦(はっく)を早く離れなば 到らん方は九品(くぼん)十(じゅう)らく

  手洗い場

寺号の十楽とは、阿弥陀如来がお住まいになる極楽浄土で受けることの出来る十の楽しみをいい、この寺にお参りすれば阿弥陀様から十の楽を授かることができるという。ありがたいありがたい。
十楽を得るため、まずは山門へ向かう。山門は安楽寺山門と似ているなぁ~。
山号の光明山は、阿弥陀如来が放つ光明にちなむとか。


第8番札所普明山(ふみょうさん)熊谷寺(くまたにじ)

本尊 先手観世音菩薩

ご詠歌 薪とり水くま谷の寺に来て 難行するも後の世のため

本堂の鬼瓦

仁王門は13.2メートルの高さを誇るが、一般車両はこの参道を迂回し、駐車場に入るため山門を撮る時間がない。代わりに持国天と多聞天を安置した二天門(中門)前で写真を撮る。
駐車上から二天門に向かう途中に多宝塔があり、安永三年(1,774年)の建立で案内書には四国最大とされる。何に対してかは書かれて居ないが、一番古いからかな。
本堂横の階段を上ると大師堂につく。参拝して振り返ると本堂の鬼瓦が睨んでいた。どきぃ~。


第9番札所正覚山(しょうかくざん)法輪寺(ほうりんじ)

本尊 涅槃釈迦如来

ご詠歌 大乗(だいじょう)のひほうもとがもひるがえし 転法輪(てんぽうりん)の縁とこそきけ

法輪時の開祖は弘法大師で、大師が建てた白蛇山法林寺がその始まりとされる。法林寺は兵火で焼失、その後法輪寺として現在の地に再建された。
ご本尊は、お釈迦さまが入滅された時のお姿を写したもので、右脇を下にし、寝そべっておられるので、「寝釈迦」とも言われる。なお涅槃とは、完全な悟りに入って苦しみがない状態を言うようです。
毎年2月15日には「おねはん」と呼ばれる法要が営まれる。


第10番札所得度山(とくどさん)切幡寺(きりはたじ)

本尊 先手観世音菩薩

ご詠歌 欲心(よくしん)をただ一筋に切幡寺 後の世までの障(さわ)りとどなる

 

得度山切幡寺にまつわる伝説
弘仁年間、弘法大師がこのあたりをご巡錫されたおり、両親を亡くした貧しい機織りの娘に出会う。大師が衣を繕うために布を所望すると、娘は惜しげもなく織りかけの布を切り裂いて大師に布施した。娘は父母の菩提を弔うために仏門に入りたいと請うたため、大師は千手観音像を彫って本尊とし、娘を得度させた。そして密教の秘儀である港頂(カンジョウ)を授けると、娘は即身成仏して観音菩薩に化身した。
「得度山切幡寺」の山号と寺号は、この伝説にちなむようである。
開創にまつわる「きりはた観音」の銅像が本堂脇の奥にある。
切幡寺は山腹にあり、道中はかなりの急坂なので大型バスは乗り入れられない。そこで途中からタクシーに乗り換えて向かうことになった。


第11番札所金剛山(こんごうざん)藤井寺(ふじいでら)

本尊 薬師如来

ご詠歌 色も香(か)も無比(むひ)中道の藤井寺 真如(しんにょ)の波のたたぬ日もなし

 

金剛不壊の護摩壇を300m山上の八畳岩に築き、17日間の修法を行い、堂宇の前に五色の藤を植えたことから、現在の山号と寺号になったと伝えられる。初夏には藤の木に美しい花を咲かせるらしい。
また写真には収められなかったが、本堂天井に描かれた龍の絵はみごとでした。


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